私には、一生忘れられないプレゼントがあります。それは、成人式の日に母から貰ったダイアモンドのリングです。
母は化粧気もあまりなく、専業主婦として毎日家事を一手にこなす「お母ちゃん」といった雰囲気の人。
父とは駆け落ち同然で結婚したそうで、結婚式はおろか、結婚写真も撮っていません。新婚生活も金銭的に厳しいもので、婚約指輪を含めて、父から装飾品のプレゼントは1度も貰ったことがないようです。
そんな母の憧れでもあるダイアモンドの指輪を、成人式の時に贈ってくれたというわけです。ほんとうに小ぶりな可愛らしいダイアモンドですが、その輝きは眩しいほどで、今でももちろん色あせていません。
私も多少の貯蓄ができる年齢と環境になり、母は来年で還暦を迎えます。
そこで、何十年も家事をこなしてきた母の指に、私からも一粒のダイアモンドをプレゼントしたいと考えています。
インターネットは趣味でよくサーフィンしますが、母へのプレゼントはやはり、店頭で実際に見て選びたいと思っています。「こんなしわくちゃの手に」と言って、母は笑うことでしょうが、ダイアモンドの輝きと重みは私なんかより、母にこそふさわしいと思います。
親孝行といえるかは分かりませんが、成人式での私の感動を、今度は母にプレゼントできたら嬉しいですね。