私の祖母は七十歳までは自分で仕事をしており元気そのもので一人暮らしをしていましたが、七十歳を超えたある日足を悪くしてしまい、家の中から出ずに過ごすことが多くなり、それをきっかけにして認知症を患ってしまいました。それまでは頭もしっかりしていたのに、足を悪くしてから認知症になるまでは一年足らずであっという間でした。
そして認知症になるとよけい体を動かすこともなくなり、寝たきりになってしまったのです。
ただ祖母の子供である私の母や兄弟はみんな外で仕事をしており、専業主婦で自宅にいるのは孫である私だけだったため、私が自宅で介護をするということになったのです。一応老人ホームも検討したのですが、どこも一年二年待ちですぐに入居できるというわけではなく、いずれにしろ自宅での介護が必要でした。
そんな祖母は当時七十歳前半で寝たきり、おまけに認知症を患っていたため要介護度は5に近い4でランクはCでした。
そして祖母の詳しい状態は、自力で寝返りも打てず、トイレも介護なしでは行なえず、入浴から食事から全て私が介護をしました。床ずれを防ぐため、日に何度も体の位置を変え、車椅子に乗せてトイレに連れて行き、食事は口まで運び、その後は歯を磨き、洗面器で受けてうがいをさせるといったように、あらゆることに介護が必要でかなり大変でした。
しかも孫である私のことがわからない日もあり、介護を行ないながら悲しい思いをしたこともたびたびあったものです。
ただ介護にかかった費用というのは、さほどでもありませんでした。車椅子や介護用ベッド、携帯用トイレと入浴時の専用椅子は全て市から無料で貸し出してもらえたため、実質準備に必要だった費用は祖母の個人的な身の回りのものくらいでした。
後は週に一度デイサービスを頼んでいましたが、これが月々四千円だったので、毎月決まって必要だった費用というとこれくらいでした。
私は祖母の介護を結局五年間行い、老人ホームに入居することなく、自宅介護だけ祖母は天寿を全うしました。
そういったことで五年間の介護は大変でしたが、大変だと思ってしまうと辛くなるばかりなので、介護といっても育児と一緒でただ大切な家族の世話をするだけのことなんだと自分に言い聞かせていました。とにかく辛いとか大変だとはできるだけ思わないようにするのが介護を行なううえで大切なことだと思います。